自分で自分を救うことからの解放
主日礼拝メッセージ要旨 聖書箇所:使徒の働き21章17〜40節 タイトル:自分で自分を救うことからの解放 1 序 今日の聖書箇所からパウロの受難について記されています。 パウロはイエスキリストと出会いイエスキリストに従う人でした。 イエスキリストを信じるとは、こういうことを言うのだと思います。 イエスキリストを信じ従って生きていくとイエスキリストに似たものになっていきます。 それは生き方そのものの変化であり生きる道の変化です。 パウロは自分の道ではなくイエスキリストの道をもうすでに歩んでいました。 パウロがこれだけ迫害を受けて受難の道を生きるのは、彼がイエスキリストを信じ従って生きていたからです。 パウロの中でイエスキリストが生きておられたからです。 今日はそんなパウロが誤解され汚名を着せられて打ち叩かれる場面をともに見ていきます。 2 ストーリー パウロたち一行はエルサレムに着きました。 すると教会は彼らを歓迎しました。 おそらくリーダーであったと思われるヤコブにも会いに行き、これまで異邦人世界で神がしてくださったことを報告しました。 するとエルサレム教会の人々は大変喜び神をほめたたえました。 しかしユダヤ人クリスチャンの中に広まるある噂のためにパウロが攻撃されるのではないかという不安が教会にはありました。 その噂というのは、パウロが子どもの割礼を施すなと言ったりして、ユダヤ人の慣習に逆らうような主張をしているということでした。 確かにパウロはクリスチャンとなりこれらの慣習によって救われるのではなく、恵みにより信仰によって救われることを信じていました。 しかし彼はユダヤ人の慣習を軽視していません。 コリント人への手紙第一にはこのように書いています。 “ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。それはユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人々には、私自身は律法の下にはいませんが、律法の下にある者のようになりました。それは律法の下にある人々を獲得するためです。 律法を持たない人々に対しては、--私は神の律法の外にある者ではなく、キリストの律法を守る者ですが--律法を持たない者のようになりました。それは律法を持たない人々を獲得するためです。 弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。” コリント人への手紙 第一 9章20~22節 彼はイエスキリストの福音を伝えるために相手のつまずきになるようなことを避けた人でした。 信仰の本質に関わることでないかぎり、彼は相手に合わせることで宣教を成功させてきたのです。 そんなパウロが割礼を受けるなとか、ユダヤ人の慣習を守るなとか、ましてやモーセに逆らえなどと言うはずがありません。 この噂はおそらくパウロをよく思わない人たちによって流されたものなのでしょう。 しかしそれをエルサレムにいるユダヤ人クリスチャンたちが信じてしまっていて、パウロに危害が及ぶのではないかという危惧がエルサレム教会にはあったようです。 それでパウロに対して提案をしました。 教会にいるユダヤ人の中に、慣習に従ってナジル人の誓願をたてている4人がいるので、その人たちが身をきよめて頭を剃る費用を出すことでした。 このことを公にすることによって、誤解を解くことができるだろうと考えたからです。 パウロはこれを良しとして、4人と一緒に身をきよめて宮に入りました。 そしてきよめの期間の7日後に供物をしてその代金を出す予定になっていました。 1日、2日、3日と過ぎて行き、7日がほとんど終わろうとしていた時に事件が起きました。 アジア州からやってきたユダヤ人たちがパウロが宮にいるのを発見すると群衆を煽りたてて手をかけたのです。 以前パウロが宮の外で外国人と一緒にいたところを見ていたので、てっきりその人を連れて本来外国人が入れないところまで入ってきていると思ったようです。 パウロはユダヤ人たちが大切にしている慣習を何とも思っておらず、かえってそれに逆らうように言う人だという先入観が彼らにもあったのかもしれません。 これによってパウロは群衆にとらえられてしまい宮の外に引きずり出されてしまいました。 31節には「パウロを彼らが殺そうとしていた時」と記されているので、この時点でもうすでに相当殴られたり蹴られたりしていたのだと思います。 そしていよいよ殺してしまおうという時にローマの千人隊長が百人隊長たちを率いて駆けつけ、パウロは命拾いしました。 しかしそれでも騒ぎがやまず、一体なぜこんな暴動が起きているのかを隊長たちは理解することができませんでした。 それでとにかく渦中にあるパウロを救い出さなくてはいけないということで、ローマ兵たちがパウロを担ぎ上げて運びました。 パウロはこうして護られながらローマの兵営の中に連れ込まれようとしていました。 するとその時、彼はギリシャ語でこう言いました。一言お話ししてもよろしいですか。 千人隊長はパウロがギリシャ語を話せることに驚いてこう言いました。 あなたは、ギリシャ語を話せるのか、するとあなたは、以前暴動を起こして四千人の刺客を荒野に引き連れて逃げた、あのエジプト人ではないのか。 するとパウロはこう答えました。 私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人で、れっきとした町の市民です。お願いです。この人々に話をさせてください。 千人隊長はこれをゆるし、パウロはヘブル語で群衆に話し始めました。 これが今日の聖書のストーリーです。…